ショパンお気に入りのスイーツ

ピェルニク

(http://panikucharka.pl/より転載)

天文学史上最も重要な再発見とされる地動説を唱えた天文学者として知られるコペルニクスですが、彼はポーランドのトルンという町の出身です。このトルンには中世の頃から作られているピェルニク(pierniki)という有名な伝統菓子があります。

1824年の夏休みにここを訪れたショパンは初めてピェルニクを食べ、相当気に入ったようで、友人宛ての手紙の中で絶賛しています。

ピェルニクとは、様々な香辛料やはちみつ、しょうがなどを混ぜた生地にジャムなどをはさんで焼き上げ、表面にチョコレートや砂糖で飾りを施したお菓子です。

生地に練り込まれる香辛料やデコレーションの材料の種類が実に豊富で、いろいろな種類があります。

香辛料としては、蜂蜜・シナモン・ジンジャー・クローブ・カルダモン・ナツメグ・アニス・ラベンダーなど、デコレーション素材としては、チョコレート、各種ドライフルーツやナッツ類があります。

お菓子の形態も様々で、クッキーのようなものから切り分けて食べるパウンドケーキタイプのものまであります。またマーマレードなどのジャムやナッツのペーストなどを生地の間に挟んであるタイプもあります。

さらに興味深いのが、食べない飾り専用のピェルニクもあることです。固く焼き上げた少し大きめのハート型ピェルニクに、メッセージやキャラクターを描いて贈ったり、インテリア・オブジェとして飾られたりもします。

ピェルニクは、香辛料をたくさん使い、固く非常に乾いた状態に焼き上げられる特徴から、腐りにくいので、昔は航海用の保存食としても重宝されていたそうです。

トルンにはピェルニク博物館があり、館内で実際にピェルニク作りを体験できます。

【ショパンとの関連】

*1824年と翌25年の高等中学時代の夏休みに、ショパンは、親友ドミニク・ジェヴァノフスキの実家があったシャファルニアという田舎町で過ごしています。1825年の2度目の滞在中にショパンは、コペルニクスの生家があるトルンにも足を伸ばしています。

同年9月にショパンが親友ヤン・マトゥシンスキに宛てて書いた手紙の中で、トルン銘菓のピェルニクを大絶賛しています。この手紙で、ショパンはピェルニクのことを「ピェルニク・トルンスキ(pierniki toruńskie)」と書いていますが、これは「トルン風ピェルニク」といった意味です。

その部分を要約すると、「トルンを訪れて実にいろいろな物を見た。町の要塞設備、砂を移動させる有名な機械、1231年に建立されたゴチック造りの教会、傾いた塔、有名な市庁舎など、町のあらゆる場所から、あらゆるディテールも含めてすべて見た中で、一番印象に残ったのはピェルニクだった。他のすべてをもってしてもピェルニクには及ばない」

さらにショパンは、気に入ったピェルニクを小包で家族に送ったとも書いています。

*ピェルニクの最大手の製造会社であるKopernik製菓は、ショパンにちなみ、「スケルツォ」と名付けた特別なハート型のピェルニクを作っています。その菓子缶にはワジェンキ公園のショパンの銅像がデザインされています。

http://www.lemarto.pl/より転載)

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